お鮨はお好き?



実は私、子どもの頃生ものが苦手であった。いや、子どもの頃どころではなく生鮨や刺身などが
食べられるようになったのはなんと、30歳を越えてからである。驚いた? 日ごろ他人から「好き
嫌いなんてないでしょう?」とよく訊かれるが、そんな事はないのである。今でも生ものはそれ程好
きではないのである。未だに「ホヤ」にチャレンジした事はないし、「ナマコ」もない。生牡蠣は30
歳のとき開眼したのであるが、その後1度あたって以来、それ程食指が動かなくなった。このよう
に情けない私だが、最近「鮨」に対する憧れが強まってきている事を認めざるを得ない。

齢を重ねるとこうなるものなのか、私は最近ダンナに何が食べたいかと問われると「和食」か「鮨」と
答える事が増えた。ウチの場合外食というとほとんどフレンチたまにイタリアンそれとチャイニーズ
という選択であるが、このところ私の食欲はジャパニーズに向かう。で、とある日いい鮨屋に行こ
うという事でススキノに向かった私たちであるが、鮨屋初心者のため「すし善」などの有名店しか
知らない (皆様のお勧めの鮨屋は、ぜひ教えて頂きたいものだ) ため、駅前通りを歩いていた。
そして、閉まっている店舗をみつけてガッカリしたのだが、当たり前だ、その日は日曜日、和食系
はほとんどお休みである。気を取り直して、その並びで1丁ほど離れたビルの一階でのれんを出し
ているいかにも鮨屋らしい清潔さにあふれた店構えを見つけて、ここにしよう!と無謀にもカラリと引
き戸を開けて入ったのである。(お店の名は「すし屋のS」)

さて、カウンターに収まって冷酒と生ピールをそれぞれ頂くとまずは「何かつまみで少し」。まず白身
で「ソイと鯵」。続いて「中トロとトロ」。おっと!日ごろ中トロもトロもこちらから注文する事は皆無の
私である。確かにトロは旨かった、しかしその濃ゆさは一切れで満足りるモノがあるものだ。握って
もらう事にして、いつもどおりなのだが、最初は私、「烏賊」と「海老」をお願いする。すると「ぼたん
海老」が用意されているではないか。「ぼたん海老」とは上等ではあるが、私の好きなのは「南蛮
海老」なのだが。また、このボタン君イキが良くて腰をかがめるどころか胸はって反り返ってるし。

これはこれで旨いけどもね。光物は何があるかと問うと、なんと「シンコ」があると言う。な、なんて
ラッキーなの、恥ずかしながら時期のある「シンコ」に邂逅したのは初めてなのである。「コハダ」自
体かなり好きではあるが、お店によってつけ具合が違ったりするのでその塩梅は気になるところ。
さて、「シンコ」。淡くて儚いその味わいは想像どおりであった。美味しい、嬉しかったなあ。また来
年きっと食べようと思う。それから貝は「赤貝」ダンナは「鮑」、なんで二人して高いの頼むのだろうか・・。
「鮪」赤身ね、「穴子」「たまご」とパクパク食べて私は満足したものである。財布の係りはダンナだし、
ふふふ。付け加えてもう一品とても美味しいものがあった。カウンターの端っこの氷の入ったガラス
の器に涼しげにトマトがあったのだが、その真っ赤な色合いがとても美味しそうだったのでリクエスト。
スッスッと良く切れる包丁で薄切りにされて塩を振られたそのトマト、甘くて酸味がしっかりして味の
濃い、最高に美味しい一皿だったのである。

生ものがダメだった私が年を取るごとに鮨が好きになるのは、嬉しくもあり厄介でもある。なぜならば、
どうしても高い鮨屋に行ってみたくなるからである。鮨デビューが遅い私としては行った事のない鮨屋
だらけだ。札幌においても行ってみたい鮨屋には事欠かないのだが、東京の一流店といわれる鮨屋
のカウンターにすわりたいという欲望はつのるばかり。好き嫌いが少なくなるのは良いが、本当に(財
布にとって)困った事ではある。

雑文記目次へ




HOME