大人になっても



ある日、ワタシは女友達と待ち合わせてお昼を頂く約束をし、早めにお店についてウキウキと
しながら彼女の到着を待っていた。ここは、ブルターニュ風のクレープを食べられるお店、お
祭りの夜店で売られているクレープとはちょっと違う。蕎麦粉のクレープに色々な具を包んで
あり、ベーコンやチーズ、卵などの塩味のものは食事として頂けるものである。また、チョコレ
ートやフルーツ、アイスクリームなどを包んだものは、もちろんデザートとして楽しめる。そして、
一緒に頂く飲み物はシードル(リンゴから作る発泡酒)がお勧め。フランスのブルターニュやノ
ルマンディー地方はワインの産地ではなくリンゴの栽培の方が盛んなため、地酒はシードル
か、カルヴァドスということになる。こちらのお店では、シードルはグラスではなく、ボウルで頂く。
これもなんかフランス気分である。

さて、ウキウキしていたのは、クレープが食べたかったのもあるが、今日の主目的は友達との
コミックスの交換であった。ワタシは年からいえば、立派な(人柄ではナイ)大人ではあるが、
今だにマンガが大好きである。ワタシタチの年代ではあまり珍しくないとは思うが、それにし
ても好きなんである。物心ついた時には鉄腕アトムが友達だった。(もっと若い世代の方々
にとっては「ドラえもん」がお友達のようであるね、きっと中年になってもドラえもんは大切な幼
友達としてあなたの側にいることと思う) 少年ジェッターやエイトマンなど、ロボットやサイボーグ、
宇宙船が大好きな子供時代だったなあ。少し大きくなると、少女マンガにどっぷり。マーガレッ
トやりぼん、少女フレンドが愛読書で、楳図かずおの「へび少女」の怖かったことといったらなか
った。そして、高校時代、萩尾望都、大島弓子、一條ゆかり、山岸涼子等々、現在大作家とな
っておられる方々のデビューをほとんどリアルタイムで体験しているのである。その後好みは
移り変わり、現在は青年マンガ誌ジャンルというのか、そのあたりを楽しんでいる。

さて、たまたまお互いのマンガ好きを知った女友達とワタシは、それぞれお勧め、かつ、相手が
好みそうなコミックスの貸し借りを約束して待ち合わせたのである。これがウキウキしなくてなん
としようか。その友達は少女マンガの蔵書が多いらしい。ワタシがみていない時期の萩尾望都、
名香智子、坂田靖子を貸してくれた。萩尾望都「残酷な神が支配する」聞いていた通りの面白さ、
続きが早く読みたいものだ。SFものは、ロマンティックなこと、この上もない。名香智子はバリバ
リ少女マンガの王道だ、すなわち美形で金持ち、上流階級の男女のラブコメディは女の子の大
好きな世界である。たとえ少々年いった女の子であってもね。そして、坂田靖子「伊平次とわらわ」
これは素晴らしくワタシ好みのマンガであった!! 中将のお姫さまの魂がでかくて下品な野良犬に
取り付いてしまい、自分のことを「わらわ」と言うこの犬のキャラクターが秀逸である。皆様にも、
ぜひお勧めしたいマンガである。ワタシが彼女に貸したマンガは吉田秋生「バナナ・フィッシュ」と
「夜叉」であった。「バナナ・フィッシュ」は何度読んでも泣ける、タオルなしでは読めない。「夜叉」
の8巻には「バナナ・フィッシュ」のある登場人物が再登場するが、こういうのはファンにはこたえら
れないね。しかし、ワタシの本当のお勧めは三浦建太郎「ベルセルク」なんであるが、彼女はお化
けはイヤだと言うのだ。う〜ん、「ベルセルク」には怪物、化け物、内臓、死体がテンコモリだしねえ。
でも、これも「鷹の団」全滅のシーンなど涙なくしては読めないのだよ〜。瀕死のジュドーの目線の
先にいるキャスカをきっと自分と思っているに違いないよ、(T-T) ス、スマン、つい読んだ人にしか
解らない記述をしてしまったあ。

フランスの香り漂うクレープリーで、瞳を輝かせてマンガの話に熱中するオバサン二人、傍目には
どう思われたであろうか? 我々はその時、永遠の14歳、そうポーの一族になっていたから、気には
ならないのであった。


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