カレー屋のお客
世の中に辛い食べ物はたくさんあり、辛いもの好きの方々も数多く存在しているが、ワタシは辛いものには
それ程執着しない方である。と、いうかあまり辛いものは苦手である。すごく辛いと舌が馬鹿になるし、汗が
出るし、喋ると口から火が出るし、味が分からなくなると思うのだが、辛好きの方々はその辺りどうお考えで
あろうか。とはいえ、ワタシもたまには辛いものを食べたくなる。キムチも好きだし、トムヤムクンなどを食べ
にエスニック料理屋を探索したり、ピり辛ラーメンなども気が向けばチャレンジする。怖いもの見たさみたいな
ものである。
そこで、ある日のランチにワタシはカレーを食べようと決心した。最近はカレー屋さんも筍のようにあちこちに
出来ているようだし、それぞれスパイスを駆使して自慢の味を作り上げている事なのであろう。そして、どうも
スープカレーが主流のように見受けられる。ワタシが好きなカレーは、家で市販のルーで作るどろりとして
溶けかかったイモやゴロンとしたニクが入ってる普通のモノである。シャバシャバしたスープカレーはどうも苦手
であるが、流行り物はなんでも試して見るタチなのでカレー屋の情報もチェックしていたのである。行ったお店
は石山通からほど近い、南1条通から北側に中小路をやや入った所にある古い民家を改装したものである。
(店名はカタカナで書けば「ザ」で始まる) 南1条通に面しては中華料理屋さんがあり、その裏の方なのだが、
この一角には古い建物が集まっており、いくつかは店舗として営業しているが、いずれも失礼ながら軒の傾き
かけたような、年季の入ったものである。で、このカレー屋さんも、ひとたび地震でもあれば無事でいられるの
か?!というような佇まいではある。が、それがなんとも懐かしいような、寛げるような、雰囲気を醸し出してい
るのであろうか。
昼時とあってお客さんがいっぱいだが、カウンター席の隅っこにひとつ空席をみつけて、メニューの検討に入った。
ここの辛さは弱辛から始まり5段階に分かれている。私は、しばし迷う。弱辛には惹かれるが、せっかくカレー
屋に来て、弱辛を注文するのでは、あまりにも意気地が無い。ワタシにだって見栄というモノはあるのだ。よーし、
思い切って2番にしよう! って、弱辛のひとつ上なだけなんだけどもね。 さて、出てきたカレーを頂くとあまり
辛くなかったのである。やや、拍子抜けではあったが、カレーの味は酸味も程よくけっこう美味しかったので、
次の機会があればぜひ3番にチャレンジしようと思ったのである。
なかなか人気の店なのか、次から次へとお客がやって来る。席が空くのを待っているお客もいる。ふと気が付くと
お客はほとんど男性であった。この日はタマタマだったのかも知れないが、女性はワタシとカップルで来たうちの
一人と後は店主のお姉さんだけであった。昼休みらしいサラリーマンや職業の分からない風体の若い男性など
などだが、わりとグループ客が多い。ワタシはこんなにオトコ達がお昼ご飯を連れ立って取っているとは、まるで
知らなかった。女性の場合は多いかなと思う、ウチの店でもグループで来店する女性達は珍しくはない。しかし、
男性グループは滅多に見ない、2年に3回くらいはあるだろうかというくらいである。ワタシの中には、オトコとは
孤高の者である、という思い込みがあり、昼休みに4人、5人と連れ立ってカレーを食べている眼前の光景は、
にわかには信じられないものであったのだ。一人で来てカウンター席や相席でシャシャッと食べて、ゴッソサンと
帰るのがオトコではなかったのか。しかも注文を聞いていると、ほとんどが2番である。2番はあんまり辛くないの
だが、オトコとしてはいささか軟弱な注文ではあるまいか? これって偏見? なんだろうな。