遺伝子の謎
その夜はひさしぶりに娘を交えて家族で外食ということになった。娘は会社員であり、
シングルライフを謳歌しているが、食生活は貧しかろうとたまには美味しいものでも
御馳走してやろうではないかということである。たまたま運転免許取得のために自動
車学校に通っている娘だが、お店へ向かうタクシーの中でその話題が出た。娘は、
その日仮免を受けて落ちてしまったのである。しかも2回目(笑)だったのだが、ダン
ナが尋ねる。「ずい分お金がかかるだろう、大丈夫なのか」「いやー、もう、全然足り
ないよ〜(T_T)」「落ちるのが悪いんだ、お父さんなんか、全部一発だったぞ、たった
47000円で免許が取れたんだ」いったい、いつの話だー。その時代は高卒初任給
だってそのくらいだったであろうが。「アンタはどうだった」おっとホコ先がワタシへ。
「ワ、ワタシ?さーて、どうだったかなー、覚えてないなー」実はワタシも仮免2回落ちた。
補習も一杯受けた。追加料金いくら払ったものか、都合の悪いことは覚えてない(爆)。
そこへ、運転手さんが会話に加わった。「お嬢さんはいくら払ったんですか?」娘は
恥ずかしげに答えた。「320000円です」「ええっ、そんなに!?今はそんなにかか
るんですか。私の時はね、普通免許に10000円、2種に8000円、全部で18000
円でしたよ」運転手さんは、見たところ60代であろうか、何十年前のお話であろうか・・・。
そうこうするうちに、タクシーはお目当てのお店のあるビル近くに到着し、我々はエレ
ベーターに乗り込んで5Fのボタンを押した。カキフライの匂いがするが、これは地下
にある牡蠣専門店の匂いではなかろうか。お腹が空く。娘は自動車学校では18歳に
囲まれているんだと話す、それはそうだろう。問題は娘は24歳なのだが、とても若く
見え(高校生くらいにしか見えない)、18歳達に「タメ口」で話し掛けられる(笑)という
ことらしい。よいではないか、仲間だと思ってもらった方が何かと安心だろう(何が?)
さて、こちらのお店はフレンチとイタリアンが両方頂けるようなメニューである。店名から
察するに「お魚料理」がお得意なのではないだろうか。果たして、なかなか鮮度・質の
良い魚介類を的確に調理されたお料理はなかなか美味しいものであった。パスタも
アサリのとゴルゴンゾーラとどちらにするか迷っていたら、美人のマダムが「半分の量
で両方作りましょうか?」と親切におっしゃって下さった。ありがたく両方頂いたが、ど
ちらのソースも美味しい。
さあ、娘よ、どんどん食べなさい。この「柳の舞」も美味しいよ、お食べ。そら、この牛肉
の赤ワイン煮も。ワタシの遺伝子をしっかり受け継いだのか、母と同じく仮免2回落ち
るなんて(T_T)、慰めるべき言葉も持たないワタシである(笑)。せめて、今はお腹一杯
食べなさい。親子の楽しくも物悲しい団らんの夜は更けて行く・・・。
追記:その後3回目にして娘は仮免に合格した。この後は順調に行くことを祈ってやまない。