美味しいお八つ


休日のある日、せっせと掃除機をかけていると玄関が開く音がして、先ほど出かけたばかり
のダンナが帰って来た。さては、休みの日のお約束の趣味(彼の趣味がなんだか知らない
方は「スタッフ紹介」参照のコト)に早々と負けて 来たな〜。イヤミたっぷりに声を掛ける。
「あら、ずいぶん早いお帰りねえ〜。」「まーな。出たんだけどなー、飲まれたんだよ。」
毎度おなじみのセリフである。ほとんど毎週聞いてるような気がするが(笑)
それにしてもまだ昼時である、昼前には帰って来ないものと思い昼ご飯の用意など何もない
のだ。仕方ないので、2人で出かけることにした。どこで食べるという考えも無いのに、車に
乗って走り出してしまうと本当に困る。特に食べたいものも思いつかず、やっとのことで適当
なお店を思いついても場所をはっきり覚えていなかったり、ではあそこへと思って車を乗り付
ければ駐車場が満杯である。こうして「ご飯難民」となってウロウロさ迷うことが時々あり、計
画を立てないと物凄く優柔不断になる我々なのであった。そうして困りきって走っていると、
ふとイタリアンレストランらしいお店が目に入り、フラフラとそこに入ったのであった。

ランチを取りながらダンナが言う。「確かこの辺りに美味しい「かりんとう」の店があったはず
だよ。前にテレビで見たんだ。」ダンナは付き合い始めた頃、甘いものなど嫌いだ、絶対食わ
ん、と硬派(?)のフリをしていたが、実はけっこう好きなんである。夏はソフトクリームの看板
を見かけると寄って行こうと主張し、晩酌のビールを飲み終わると寝しなにプリンを食べたり、
仕事帰りにつまみを買いにコンビニに寄ると買い物カゴに必ず、アーモンドチョコレートを入れ
ている。休日の趣味に負けて帰って来ると、何もする事が無いのでビデオ鑑賞をしながらお茶
のお供にかりんとうやケンピは必需品なのである。

そんなことで、かりんとう屋さん探しが始まった。案の定あちらの通り、こちらの通りと走り回り
あきらめかけて、帰ろうと電車通りに沿って道を曲がったのだが、「今曲がる前に、まっすぐ
行った先の所に大きなのれんがちらっと見えた!」ダンナが叫んだ。「じゃあー、Uターンだ」
「きっとあれだー!」ダンナは興奮した。確かにそれは探していたかりんとう屋さんであった。
白いのと黒いのと一袋ずつ買い求め、応対して下さったご主人に「前にテレビで見てね、今日
ずい分探してやっと見つけましたよ」と申し上げると、ご主人は嬉しそうににこにこして「もう買
って下さったけど、おひとつどうぞ」と密閉容器から試食用のかりんとうを出して下さった。白と
黒をひとつずつ頂いてカリカリ食べると、白いのはとても香ばしく、黒いのは黒砂糖が蜜のよ
うに甘くすっきりとした味わいで大変美味しかったのである。店名に似つかわしくない、愛想の
良いにこやかなご主人であった。

それにしても店名も住所も覚えてなかったのに、よく見つけられたものである。ダンナの執念
か、かりんとうがダンナを呼んだのか(笑)。 その日の夕方テレビの前にはお茶とかりんとうを
手にした満足気なダンナが座っていたのであった(^_^;


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