食材見学の旅〜釧路・中標津
2003年6月
北海道は素晴らしい食材の宝庫ですが、道東にも惹かれるものが
たくさんあります。肉・魚介類・乳製品などなど、かねてより訪れて
みたかった生産者の方々との楽しい出会いの旅です。
さあ、見学の計画はすっかり整った。先方にはすべて連絡済み、 後は丘珠空港より一路釧路空港へひとっ飛び、わずか55分の フライトである。と、思いきや、なんと釧路空港濃霧のため着陸 できず、機は中標津空港へ向かってしまったのであった〜(T-T)。 観光客の部分としては「霧の釧路」に憧れてはいたが、いきなり のこんなアクシデントは歓迎できない。そう言っても仕方ないの で、計画変更である。午前中に白糠へ行く予定を阿寒湖に変更。 阿寒湖に抜ける峠ではえぞ鹿との衝突事故に気を付けるようにと レンタカーの係員に注意され、ビビる我ら(^_^;。食べるのは好きだが 衝突は避けたいものである。 阿寒湖温泉の中ほどに目的の「阿寒漁業協同組合」さんがあり、 事務所のそばの生け簀には元気な「ウチダザリガニ」が、ウジャウ ジャと暮らしている。 |
![]() 生簀で漁協の中井さんに説明を聞くカザマシェフ |
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左上はゴッソリと網ですくわれたザリガニ。とても元気な彼らはもう一心不乱に生簀に帰ろうと逃亡開始だ。他ザリを押しのけ、踏み台にし、こちらと目が合うと大きなハサミを振り上げて威嚇してくる。凶暴な奴らなんで、生簀に生かしておくのも大変そうだ。餌も多過ぎると水が汚れるし、少なければ共食いを始める。見ればハサミが1本しかない奴、両方とも失った奴、仲間内の戦争の結果である(^_^; 右上はエゾイワナ。白い斑点がとてもきれい。こちらも元気でピチピチと暴れまくり、美味そうだ〜(笑)。 左下は今日上がったサクラマスである。銀色に輝きこれもとても美しい。こちらは早速買って店に直送して貰った。 「本日のお魚料理」としてその週末メニューに載せて、あっという間に売れてしまったのであった(^-^)。 そして右下は漁協の隣にある食堂で頂いた「姫鱒の刺身」である。とろっと甘くとても美味しい。それとここで採れるワカサギの天麩羅も頂いたが、ビールが飲みたくなる一品であった〜!! |
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マリモ街道をとおって白糠へ向かった我々である。白糠には羊飼いの「茶路めん羊牧場」の武藤さんがいらっしゃる。当店では時々ここのラム肉を仕入れているので、ぜひ訪れてみたかった所である。 霧は白糠にも漂い、遠くの山々はかすんでいる。周りも雲がこの辺りまで降りて来たかのようにぼんやりとした風景に見えた。広い牧場の敷地には遥か遠くの方まで、点々と羊たちの姿があり、皆これが仕事よ!と言うかのようにひたすら草を食んでいるのであった。食べる事だけ考えていれば良い、という点のみはちょっと羨ましい気も したのではあるが(笑)。 こちらではサフォーク種以外にも色々な種類の羊がいて賑やかな様子であった。白いのや黒いのや茶色いの。羊毛を採るための、くるくる巻いた立派な角を持ったものもいる。 |
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ここの羊達は敷地内のいたる所を勝手に歩き回っている。放牧地の外の庭先や玄関周りにもウロウロしている。仔羊達は今年の冬生まれなので、まだ小さくてとっても可愛い。あんまり可愛いので、近寄って行くと左の写真のように皆お尻を向けてささーっと逃げてしまうの。つれないなあ(^_^; |
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その後、武藤さんにご案内頂いて、同じ白糠にあるチーズ工房「酪恵舎」にお邪魔した。この地域の酪農家の方々が集まって設立ししたチーズ工房である。井ノ口さんが中心になってチーズ作りをしている。井ノ口さんはイタリアでチーズ作りの勉強をなさったので、ここのチーズはイタリア系統。モッツァレラやリコッタのようなフレッシュを始め、味わいの深いセミハード、ハードタイプのチーズもなかなか美味しいものがある。ワタシ個人的には「モンヴィーゾ」という熟成のわりと長いチーズが好みである。 「トーマ・シラヌカ」「テネレッロ・シラリカ」はいずれもそのまま食べてもマイルドで美味しいが、焼いたり溶かしたりすりおろしたりして料理に使うのもお勧めとのこと。井ノ口さん、厚岸の牡蠣にここのチーズを乗せて焼いて食べたらモノスゴク美味しかったと、にこにこして語って下さった。うう〜、涎が出そうになったワタシである(笑) |
![]() 白糠・酪恵舎の看板の前でワタクシ。 ![]() 酪恵舎のチーズを試食。 |
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←酪恵舎の清潔な工房。 夕方訪れたので、今日のお仕事はスタッフの皆さんほぼ終わり、後片付けして帰って行った。酪農家の奥様たちだそうで、これからお家で家族で晩ご飯ですね。お疲れ様! それからやはり白糠町の鹿肉解体所の「馬木葉クラブ」の 松野さんにもご紹介頂きしばらくお話させて貰った。こちらにも今年の冬のえぞ鹿のシーズンには必ずやお世話になるであろうと確信しつつ(笑)、実り多かった白糠を後にした我々であった。 |
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![]() 霧の釧路の一夜を大いに楽しんだ(何をして?(笑))我々は翌朝、 「和商市場」を覗き(蟹を購入(^-^))、厚岸へ向かった。観光客としては一応コンキリエを押さえておかなければ、ということでコンキリエで厚岸湾を背にして立つワタシの記念写真である。広々した眺めである。こちらは厚岸の道の駅でもあるが飲食店がいくつか入っていていずれも名産の牡蠣など魚介類を頂くことができる。我々は「炙屋」に直行だ。まず、一人ずつバットを貰ってショーケースから好みの魚介類を好きなだけ選んで、レジで清算し、店内の炭火で自ら焼いて食べる、というシステムである。殻牡蠣(1個¥150)やウニなどを持って嬉々として席に着き、網の上に並べる。しばし待つ(涎)。ああ、香ばしい匂いがして来たあ〜。ささ、そこはシェフ、馴れたる手付きで軍手をはめて火ばさみをあやつり、焼けたものから小刀で皆の牡蠣を開けてくれた。使えるぜ〜(笑) |
![]() 誰よりもたくさん牡蠣(好物)を食べたシェフ・カザマ。 |
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![]() 左端が大友さん。可愛らしい工房の玄関前で。 |
次に訪れたのは浜中町・茶内の「大友チーズ工房」。大友牧場の若き後継ぎ大友孝一さんの可愛らしい工房である。ここのチーズはデンマークのハバティをモデルにしたレクタン、とてもマイルドなセミハードタイプのミルドー、カマンベールタイプのロンドブラン、山岳チーズタイプのオラウンベツなどがある。ロンドブランは柔らかめの白カビチーズで優しい味わいながら、フランス・ノルマンディーのカマンベールの酵素を使用しているということで、なるほどカマンベールに似た風味が少しする。チーズ工房の主としてはおそらく一番お若い方ではないだろうか。今後がとても楽しみな工房である。![]() |
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そして、最後の訪問地、中標津の「三友牧場」にやって来た。三友由美子さんが作るチーズとの出会いはもう数年以上前になるであろうか。時を経るにつれて美味しくなる三友さんのチーズはワタシが作るチーズ・プラトーに今や欠かすことのできないものになっている。工房を訪れるのは念願かなって今回が初めてなので、とても楽しみにしていたワタシだ。三友さんとの再会が嬉しくて(^-^)。右の写真は長期熟成の「山のチーズ」のための熟成庫の前で、三友さんと。三友さんご本人もとても素敵な方であるが、牧場や工房も聞きしに勝る素晴らしさであったー。きれいに整えられたお庭や、白い馬、ご家族用の小さな野菜畑、ヨーロッパ風の憧れの田舎暮らし、という雰囲気ですよ〜。うっとり。この環境でマイペースでチーズ作りをなさっている三友さんにとって、チーズは人生を豊かにするためのものなのであろう。 | ![]() |
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熟成庫で時を過ごす「山のチーズ」。このチーズは長期熟成を目指して毎回工夫しながら作っておられるそうである。夏の青草を食べた牛の乳で作るので、仕込みは夏の短い間だけ。どんな風に出来上がったか確かめられるのは半年から1年以上先になる。 三友さんは最近フランスのサヴォア地方に勉強に出かけられ、ルブロションの作り方のヒントを得て来られたらしい。ルブロション・タイプのチーズの完成はワタシもとても楽しみである。できたら必ず送って下さるようにお願いしてきた(^-^) |
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三友さんのチーズやサヴォアのチーズなどを試食しながら、頂いた 三友牧場産の無殺菌牛乳である。この日の朝絞ったそのままの牛乳だ。なんと言っても香りが良い。甘いミルキーな香り、香りにまで濃度があるような気がしてしまう(^-^)。こっくりと濃さのある味わい、この香り、味がそのままチーズに現れるのだなあ・・・。改めて乳の力を思ったものである。こんな牛乳は牧場の隣に住むか、自宅に牛を飼わねば手に入らない。うーん、牛一頭いたら、自分の所の分は賄えるか。・・・究極である、札幌ではね(笑) |
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