マレの散歩
ホテルの窓から見える家並み。朝の9時頃、まだまだ薄暗い。
2004年1月、パリとディジョンを訪問しました。パリではマレ地区にあるこじんまりとした
古いホテルを拠点にマレ、バスティーユ、レアルを歩き回りこの辺りが大好きになりました。
オペラやシャンゼリゼのようにきらびやかではないけど、古いアパルトマンが並ぶ込みこみした細い道に、
シックなお店や雑貨店、ブティックがあったり、美術館も多く、小さなカフェやレストランもたくさん。
そんな街歩きの合間に入ったカフェやレストランでの楽しいひとときを綴りました。
オテル・ジャンヌダルクのプティ・デジュネ(朝食)5.8ユーロ
オレンジ・ジュース、カフェオレ、パン
マレ、メトロのサンポール駅近くの二つ星のホテル、ジャンヌ・ダルクに宿泊。17世紀には修道院だったという古い小さなホテル。小さなエレベーターは二人用、スーツケースを運ぶなら一人ずつしか乗れませんよ、とフロントの係りに言われた(^_^;
荷物を置いたら早速、近所のカフェ「タルティーヌ」へ夜食を取りに。ここのお得意、タルティーヌ(バゲットにハムやチーズなどをのせた温かいサンドイッチ)をつまみに安い赤ワインのデカンタをぐびり。パリに着いたという実感が湧くというものである。デザートにクレーム・プリュレも。濃厚で美味しい。コーヒーもコクがあって旨いこと!ちょっと若ハゲだけど優しいギャルソンもとても感じが良かった。カメラを忘れてきて残念。(35.5ユーロ)
2日めは早速買い物に出掛けました。厨房道具屋さんでトリュフ・スライサーを買ったり、ワイン店を覗き、ライヨール・ナイフのお店でソムリエ・ナイフとテーブル・ナイフを新調。マレからシャトレまでメトロに乗って、後はオペラまで歩きややお疲れ。で、オペラの「カフェ・ド・ラペ」で昼食。こちらは場所もオペラの真中、有名店だし、いらした方も多いのでは?
ハムとチーズのサンドイッチ
生牡蠣 オニオングラタン・スープ
ダンナは早くも生牡蠣、この後もしょっちゅう牡蠣を多べる。オニオングラタンはワタシ、美味しいけど、カザマのそれの方が濃くてもっと美味しいと思う。
これに後ワインでしめて90ユーロ。場所がらかちょっと高いような気が(笑)
エスカルゴのブルゴーニュ風、7ユーロ
ホテルの近くにブルゴーニュ・ワイン専門のワイン・バー「オ・マレ・ド・ブルギニヨン」があると聞いていたので、夕食はそこへ。電話を掛けると若い男性が出て、英語が通じたのでほっとする。と、思いきやいざ出掛けるとマダムも若いサービスの女性もフランス語しかできない。片言のフランス語で料理を注文、二人で前菜を一皿ずつとメインを一皿シェアすることにした。ワインはせっかくなので好きなシャンボル・ミュジニーをお願いすると、セラーに消えたマダムがしばらくして、「切れていたのでこのニュイ・サン・ジョルジュ(45ユーロ)でははいかが」と戻ってきた。同じヴィンテージの96年のものを探してくれていたらしい。OKしてそれを飲んでいると、ムッシュがやって来てこの方もフランス語で「さっきはシャンボル・ミュジニーが無くてすみませんね」とおっしゃった。「いいえ、構いませんよ。シャンボル・ミュジニーのドメーヌに行くもので、ちょっと飲みたかったんです」と答えると「どこのドメーヌへ?」「アミオ・セルヴェルさんに」「ああ、素晴らしい造り手さんですね、良い旅をね」とにっこりして地下の階段を降りて行った。その後、トイレ(地下にある)に立つと、地下でパソコンに向かっているムッシュを見かけたので、声をかけて「あちらがセラーですか?」と聞くと親切にセラーを案内して下さった。なかなか広いセラーにワインがぎっしり。モンラッシェなどの素晴らしいコレクションを見せて下さり、とても気さくな方である。(注:これらの会話はご主人のフランス語とワタシの片言のフランス語と英語と固有名詞と笑顔にて意思の疎通を図ったものである(笑))
時間が経つとともにお店は満席となり、素敵な内装とあいまってとても良い雰囲気。何かの用事で厨房から出てきた若くてハンサムなキュイジニエが通りすがりににっこりと笑って会釈してくれた。そうだ、この人がきっと予約の電話に英語で応対してくれたに違いない!とワタシは勝手に気分よく解釈したのであった(笑)。
愛想の良いご主人とマダムのとっても感じの良いワイン・バー、マレのお勧めの一軒である。
(フロマージュも取ってしめて90ユーロ)
お店の前で
本日のお勧めの黒板から、ジビエのテリーヌ、7ユーロ
メインの鴨のコンフィ、14ユーロ3日めの朝食は近所のカフェ「ドーム」でアメリカンタイプを。オレンジジュース、カフェオレ、パンに卵料理を選べる。カフェオレ以外にも紅茶かショコラでも。朝からお腹一杯である。
その後、サンジェルマンにある有名パティシェ「ピエール・エルメ」のブティックでガトーとお菓子を購入。
この日はものすごい大雨となり、散歩も難しいので近くにある「ピカソ美術館」の見学。美術には素養の無い我々(^_^;なんではあるが、ちょっと高尚な気分の楽しいひと時だった。ここには日本語の館内案内リーフレットもあり。
雨も上がった帰り道でぶらぶらとマレらしい街並みを眺めながら、ゆっくりと歩く。途中車の渋滞が原因で始まったオジサン達の喧嘩も目撃できて、大変面白かった(笑)。
オリーブオイルの専門店の前で
ホテル近くのカフェのプティ・デジュネ、卵がみっつも(9ユーロ)
とっても味が濃くて美味しいピエール・エルメの
オレンジのゼリーとチョコレート菓子
ディナーは凱旋門近くにある三つ星レストランの「ギー・サヴォア」にて。今回の旅行のメイン・イベントである。残念ながら写真を撮るのは遠慮したので、お料理を画像でお見せできないが、もちろん全て素晴らしいものであった。お料理はとても迷ったのだが、色々なお皿を見たくてアラカルトではなく、「冬のムニュ」(200ユーロ)を頂いた。テーブルまで数種類のシャンパーニュなどを冷やしたクーラーを持って来た中からアペリティフを勧められて、グラスでロゼ(22ユーロ)と極辛口(25ユーロ)のシャンパーニュを一杯ずつ。ワインはジョセフ・ドルーアンのボーヌ・クロ・デ・ムーシュ(ヴィンテージ失念、でもちょうど飲み頃のもの、145ユーロ)。
特に印象に残ったのは、前菜の「マグロのロースト、生姜風味のソース・ブールブラン」。とてもシンプルなお料理で、特に凝った盛り付けがほどこされていることも無い。でも、その美味しさといったら。まずそのソースは、一口味わっただけで、クリームが違う、バターが違う、濃厚ですごいコクがある。そして、マグロの固まりの下処理、火の通し具合には一見さりげなく出すものに、高等な技術の裏付けがあることを解らせるものだ。それからアイディアと技術の冴えに更に唸らされる「オマール海老と蟹」のお料理。香草で風味付けされ蒸してある海老と蟹(小さい甲羅に蟹みそであえた味が入っている)がぽつぽつと穴の開いたお皿に載っていて、テーブルでソースをかけて下さった。それを食べ終えたら、穴の開いたお皿を下げ、するとその下から海老のビスクが現れるという凝ったものであった。肉料理は「鹿肉のステーキ」、雄の仔鹿は野生の香りのする一皿。でも、素材で言うならば我が北海道のエゾ鹿も負けてはいないな、と思ったことでもある(^-^)。
素晴らしい料理に加えて、サービスの方々も素晴らしかった。シェフのギー・サヴォア氏は全てのテーブルに必ずご挨拶にいらっしゃる。ワタシ達のテーブルにも、席に着くとすぐににこやかな笑顔で現れ、とても嬉しかった。また、記念品のお皿も頂戴して、今それは当店に飾られてある。メートルドテル以下、サーブして下さるスタッフは皆さん、ハンサム揃いでしかも取り澄ましてなく明るく話し掛けて下さる。ああ、日本語で話して下さったならばこちらも軽妙に受け答えしてもっと楽しめるものを。当然だが、皆さん英語は堪能である。
すべて一流のものを堪能した夜だった。
が、しかし、一つだけ、フランスのマダム達はよく煙草を吸うものだ。右手にフォーク、左手に煙草をはさんで食事をするのは、いかがなものであろうか(^_^;
(総額611ユーロ)
続く